【感じ取る 伝え合う より深く】
-子どもの思いを尊重し、子どもの学びに寄り添って-
現行学習指導要領において、音楽科の目標は「表現及び鑑賞の(幅広い)活動を通して、音楽的な見方・考え方を働かせ、生活や社会の中の音や音楽、(音楽文化)と豊かに関わる資質・能力を育成すること」である。「活動を通して」とは、多様な音楽活動を通して学習が行われることを前提とし、児童生徒一人一人の個性や興味・関心を生かした楽しい音楽活動を展開していくことの重要性を述べたものである。
本研究会では、令和4年度から「感じ取る 伝え合う より深く」をメインテーマとし、昨年度は、「-音や音楽と豊かにかかわることを目指して-」をサブテーマとした。「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実のもと、音や音楽での表現やかかわりを大切にした実践を行ってきた。ICT機器等を効果的に活用しながら、子どもたちが必要な資質や能力を高め、試行錯誤しながら学びを追究し、音楽のよさや他者の思いを感じ取る姿が多くの実践で見られた。
さて、本市では、令和5年9月に「ナゴヤ学びのコンパス」が策定された。そこには、どの学校園でも大人が大切にしたいこととして、「子どもは有能な学び手」であると理解し、尊重、対話、チャレンジを大切にしながら、子どもの学びに伴走することが明記された。重視したい三つの学びの姿として、「夢中で探求する」「自分に合ったペースや方法で学ぶ」「多様な人と学び合う」ことが取り上げられている。これまでも、音楽科において、「主体的な学び」や「協働的な学び」について、多くの実践がなされている。
しかし、全ての子どもを「有能な学び手」と理解して、教師が伴走者として学習を進めるまでには至らず、「学びのコンパス」に即した子ども中心の学びをどのように進めればよいのか不安に思う教師も少なくないと考える。子ども中心の学びを進めるためには、教師が子どもの思いを尊重し、子どもの学びに寄り添うことが大切である。そのために、子どもたち自身が自己の学びについて見つめることができるよう、個に応じた学びの場の設定や、どのように声を掛けたり支援をしたりしていくかという子どもたちとの対話の工夫等が必要であると考える。さらに音楽科として、子どもたちと音楽との出合わせ方や、他者とのかかわりについても大切にしていきたい。子どもたちの「もっと学びたい」に寄り添うために、音楽科としての学びの在り方を追究し、発信できるよう研究を進めていきたい。